屋上、屋根からの漏水は防水塗膜の劣化、屋根材のひび割れ、剥がれ、穴あきなどが原因になることが多いのですが、天井などから水が染み出してくるまで気づかれないことがほとんどです。屋上や屋根は紫外線や風雨といった過酷な環境にさらされているにもかかわらず、普段は人目に付かないので防水性能が落ちても気づかないのです。また、上階の床面にひび割れができたり、防水層が損なわれたりすることで、階下に水漏れが発生することもあります。
外壁についてはやはり塗膜の劣化や外壁自体のひび割れ・穴あきによる水の浸入が多数あります。ひび割れは「別に気にならないから」「内部には浸水していないから」と放置しておくと、躯体内部で腐食が進み建物自体の劣化を早めてしまうこともあります。
ベランダ等の防水層の劣化やひび割れ・穴あきによって階下で水漏れが起こることもあります。ベランダ・バルコニーは人が出入りする場所なので、塗膜がすり減ってダメージが早く顕在化することがあります。
窓や建具周辺からの雨漏りも思っている以上に多いケースです。天窓やトップライトの周辺に隙間があれば雨漏りしますし、通常の窓でもサッシ周りから雨水が浸入します。サッシは意外に施工が難しい部品なのです。そのため場合によっては防水施工が不完全なことがあります。シーリングが破断していたり、取り合う部分の施工不良によっても浸水することがあります。水が漏らなくても染みやカビが出る場合は雨水の浸入を疑いましょう。
建物内部の配管、設備機器、浴室などの不具合は水漏れに直結します。普段見ない場所なので、思わぬダメージが蓄積していることがあります。建物自体は綺麗でも、水回りの引き戸を開けてみたら内部がプールのようになっていた、というケースもあります。想定以上の水にさらされ続ければ、部材は当然傷みます。
なお、雨漏り・漏水は天気が良くなると消えてしまうこともありますが、浸入経路は残っています。専門家が見れば雨漏りか漏水かを見極める助けになることもあるので、写真を撮って記録を残しておくことをお勧めします。